VR活用事例

世界的評価を受けるVRアーティスト

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 仮想現実の空間で様々な体験が出来るVR。気軽に非日常を味わえることから、近年人気が高まりつつあります。ゴーグル型のヘッドマウントディスプレイを装着すれば、そこは異空間。ゴーグルの中に映像が映し出され、動きに合わせて視野が変化することで、VR体験を楽しめます。

 一般的に、VRはゲームなどと結びつけられることが多いですが、VRとアートが織りなす世界も近年クローズアップされています。今回は、世界で活躍するVRアーティストのご紹介です。

せきぐちあいみ氏

 せきぐち氏は元々YouTuberとして活躍されており、VRアートに触れたのは2016年、HTC ViveやOculus Riftといった、一般向けのVRデバイスが発売されたタイミングでした。初めてVRアートに触れ、夢中から自分の強みへと変わっていったという。現在は、国内のみならず、アメリカ、ドイツ、ロシア、タイ、マレーシアなど、海外でも活動の幅を広げています。

 印象に残るのは、アリーナで開催された、ロシアの技能五輪国際大会(WorldSkills 2019)の閉会式。約4万人の観客の前で、ロシア人歌手が歌を披露する中、大画面に自身の見えているVR映像を映し出し、ライブペインティングを披露。

 個人で楽しむVRに留まらず、大勢の人々に自身のパフォーマンスを通して、VRの楽しさや感動を与えられたことが印象的だったと彼女は語る。それがVRアートの原点。

 現在では新たな芸術スタイルを展開し、龍や草花といった日本的なモチーフを立体的に美しく描き出すのが特徴となっている。VR空間に絵を描くVRアートなどはこれまでになかったことで、彼女が先駆者となって世界各地のイベントやTV番組で、ライブペインティングのパフォーマンスを披露したり、VRの楽しさを教えたり、幅広い活躍を続けています。

 VRの未来はまだまだ伸びしろがあり、ARを活用していくことでも立体的に描けるようになる。コントローラーなしに、まるで魔法を使っているかのような感覚で描くことが出来るようになる、そんな未来はさほど遠くない。

 360度自由な角度で鑑賞でき、作品と一体化するような感覚を体験出来るVRアート。人間にしか出せない温かみや情緒を表現することを追求していきたいとする彼女の展望に、今後も目が離せない。

藤田五郎氏

 VR界をリードするアーティストの1人とされる。彼の織り成す世界は、まるで世界の中に世界が存在するかのよう。

 VRイラストレーションツール「Quill」を駆使して、作品は作られている。特徴的なことは、作品が全て手描きであるという点。照明効果を用いず、独自の世界を繰り広げる。

 2016年7月には、Oculus Rift用のVR彫刻ツール「Medium」を駆使し、作品を公開しました。

 このツールでは、同社のハンドコントローラOculus Touchを使用。直感的な方法で、作品をデザインしています。観る人の想像力を描き立てるように、ズームイン・ズームアウトを見事に表現しています。

 Quillのティザー動画では、小さな惑星にズームイン。 好奇心の強い男の子が別の世界を手にし、惑星の中の、時間が止まっている人間の世界を見出しています。静かに木陰で眠るうさぎ、花びらの上でギターを弾く蟻が映し出され、人間の世界から動物達の世界へと、世界をさらに拡大します。最後にティザー動画は、世界中のあらゆるものをズームアウトすることで終了。

 藤田氏の圧倒的な世界観に、わくわくが止まりません。

イトウケイスケ氏

https://lipronext.com/wp-lipro/wp-content/uploads/2019/10/vrart_photon.jpg (引用元)

 イトウ氏の作品、「PHOTON」。

 「PHOTON」は、謎の惑星の中を自由自在に冒険し、PHOTONと呼ばれる生き物に出会いながら、塔の頂上を目指していく体験型VRアート。

 美しい惑星はもとより、作品の中の人物や現象の変化を楽しむことが出来る。幻想的な風景によって、一際作品の美しさや人々の持つ興味を描き立てている素敵な作品です。

マリーナ・アブラモヴィッチ

 ロンドンの250年の歴史を持つロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで、2020年開催予定の回顧展に、初の現役女性アーティストとして抜擢された人物。自身と観衆の肉体をキャンバスとして描き、時間の経過によって作品を現出させる。パフォーマンス・アーティストの草分け的存在として、名を轟かせています。

 代表的な作品に「Rising」がある。

 過去20年間における海面上昇率を参照に、科学者達は、おそらく今後70年の間に、気候は大きな問題を引き起こすと警告しています。しかし、これを実際問題として、科学者の警告を真剣に受け止めることはほとんどありません。そこで、実際に体験して人々の意識を変え、行動を起こさせるような何かを創造出来ればと考えたことから、作品が生まれました。

 アブラモヴィッチ氏は、自身が表現するVRアートとは、精神を照らし、高めるものと考えており、人間が環境に及ぼす力が高まっていることに関するメッセージを伝えるために、VRを使用すべきだと感じているという。

 バーチャルなアブラモヴィッチと接触を試みる中、ふと周りを見回すと北極の氷冠が溶けていく壮絶な光景へと世界が映し出されます。ここで、地球温暖化による海面上昇を真のあたりにすることになります。

 環境に与える影響について改めて考えるように促され、選択を迫ります。環境を守ると誓えば、タンク内から水が引き、彼女を救うことが出来ます。断れば、徐々に水が注入され、水位は腰の高さから首の高さへと上がっていきます。

 一極端な発想から別次元へと誘う。観るものは、感動と同時に動揺が隠せない。インパクトのある作品が体感出来ます。

アニッシュ・カプーア

 カプーアが初めて手掛けたVR作品、「Into Yourself, Fall」。

 人体を通り抜ける旅のVR体験がコンセプト。

 旅は森の中から始まり、木々に囲まれた空き地の地面に、人体の複雑怪奇な活動を内側から見つめながら自分の中にどこまでも落ちていくという、眩暈のするような感覚を体感する作品。

 大きな黒い穴からいくつもの入り組んだトンネルを落下していきます。壁は、腱と筋肉で構成されているかのように見えており、未知の領域に踏み込んで自分を見失うというシュール且つレアリスティックな作品です。

 カプーアとAcute Artは、バーチャルな旅を通じて精神的な体験することをコンセプトに、VR空間を描きました。

 自身の肉体を内側から見つめ直すという感覚が味わえます。触覚を持って、超越したバーチャル領域における肉体性の探究に乗り出しています。

まとめ

 VRの技術が進歩することで、アートの可能性も一気に広がっていきます。VRをアートと組み合わせることで、現実に近いものの、現実ではない世界を体験でき、仮想空間を使った表現が可能になります。リアリティ、バーチャルの融合。VR×アートのこれからの動きに注目していきましょう。

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