VR活用事例

VRで楽しむ味覚、嗅覚

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近年VRは、視覚や音に加え、香りや味覚も体験出来るほど進化してきています。

それに伴い、様々な業界で企業の販促などに活用すべく、新たな試みが始まっています。例えば、通信会社がVRの店舗内で、香りを用いた取り組みがあります。パンに近づくと、香ばしいパンの香りが漂ってくるというものです。VR映像やハプティクス技術との組み合わせにより、五感の全てに訴求する仕掛けが可能になりました。

今回は、そんな時代の最先端を行く学校と企業のご紹介です。

嗅覚デバイスを開発するスタートアップのVAQSO(バクソー)と共同で、コンテンツ開発に取り組むORENDA

カートリッジをVRゴーグルの下部に取り付けて、使用。
https://bae.dentsutec.co.jp/PRSite/media/images/articles/orenda/01.jpg?ext=.jpg (引用元)

 香りのデバイス「VAQSO VR」。VAQSOが開発した香りデバイスで、一般的なVR用のヘッドマウントディスプレイやゴーグルの下部に装着し、使用します。重さは、125g前後。香料を装填したカートリッジを、5種類セット出来ます。APIの使用で、コンテンツに連動した香りを放出、切り替え、消去などが可能です。

https://bae.dentsutec.co.jp/PRSite/media/images/articles/orenda/02.jpg?ext=.jpg (引用元)

 気になる5種類の香りですが、ミント、チョコ、コーヒー等の他、花束、女性(シャンプー)、火薬、海、ゾンビ(腐敗臭)などをイメージした15種類の香りから選べます。また、コンテンツに応じたオーダーも可能です。

 ゲーム内で銃を撃つと硝煙の匂いを放ち、恋愛ゲームで女性キャラに近付けばシャンプーの香りがするといった仕組みで、VRゲームの内容と匂いが連動することで、今までにない演出や、よりリアリティ性の高いVR体験が可能になりました。

https://grapee.jp/wp-content/uploads/tsuchiya_271.jpg (引用元)

 また、フローズンドリンクの味が変化するコンテンツもあります。フローズンドリンクは、イチゴ、レモン、メロン、ブルーハワイの4種類の香りをご用意。香りを装填したデバイスを装着後、実際にフローズンドリンクをお召し上がりいただくと、砂糖とクエン酸を含むもので、スポーツドリンクを水で薄めたような味しかしません。

 しかし、デバイスからイチゴの香りが放出されると、ドリンクはイチゴ味に変化し、レモンの香りに切り替えると、香りと味はすぐにレモンへと変化します。薄味のドリンクに、きちんと味が付いて美味しくなるため、体験したことのない驚きと喜びを体感出来ます。

Tasted VRが生まれた背景

 香りが、食事に及ぼす影響は計り知れません。香りを感じることで、素材の美味しさや風味も一緒に味わえます。香りと味覚に関する研究は、産学問わず様々な研究機関で行われており、味覚の9割は香りに由来すると言うのも一説にあります。こういった点に着目し、2018年の半ばより、開発が始まりました。

その他、フランスでの動き

 2019年5月に、パリで開催されたテック系の展示会「VIVA TECH 2019」では、高級香水ブランドがプロモーションの一環として、香りと共にアートな世界観を体験出来るコンテンツを発表しました。

 こちらは、無数の花びらが舞う空間や、夕暮れ時のパリの街並みなど、香水のコンセプトを表現する美しい映像と共に、香りを楽しめる趣向でした。

 2019年7月には、フランスのアヌシーで開催されたアートフェスティバル「Annecy Paysages」で、著名な調香師やクリエーターによる「香り×VR」のインスタレーション作品「Éden(エデン)」が発表され、評判となりました。嗅覚へのアプローチにより、VRの新たなクリエイティブへの挑戦が広がっています。

味ディスプレイ

https://media.dglab.com/wp-content/uploads/2020/05/f1ff393976b34f7876153734214f82fb-740×555.jpg (引用元)

 2020年4月30日、明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明教授は、任意の味を表現出来る、味ディスプレイを開発しました。

 これは基本の五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)を感じさせる電解質を固めた5種類のゲル(ゼリー状のもの)を、直接舌に触れさせることによって味を再現する仕組みです。

 味のコントロールは、ゲルに電気を掛けることで、内部のイオンが泳動(電気を帯びた粒子が電解質の中を動く現象)し、それによりイオンが舌に触れる量を制御します。これによって、五味の割合が自由に調整でき、どんな味でも作り出すことが可能になります。

 海苔巻のような形をした実験用のデバイス「Norimaki Synthesizer」では、グリシンを使用して甘味(赤)、クエン酸で酸味(黄)、塩化ナトリウムで塩味(黒)、塩化マグネシウムで苦味(茶)、グルタミン酸ナトリウムでうま味(ピンク) を再現しています。パソコンのディスプレイに映る画像が、RGBの光の3原色で作られているように、味もこの基本5味の割合を調整することで、全ての味が表現出来るというものです。味ディスプレイと言う名前の由来は、こういったことから来ています。

 味ディスプレイでは、スイッチ一つで薄めた味を再生することも可能です。小型化可能で、スマートフォンにも搭載可能です。また、電気刺激を利用しない方式を採用しており、安心してご使用いただけます。

 SNSでは、画像と共に個人の味の感想などを言う機会がありますが、どんなに美味しかったかまでは、届けられません。しかし、今後は、どんな風に美味しかったかを、その場に居合わせなかった人へ伝えることが可能になります。遠隔地に味を伝え、再現可能にすることにより、これまで以上にビジネスへの応用の範囲が広がるのではないかと期待されています。

 この研究は、世界初の試みであり、特許出願中とのこと。聴覚や視覚で楽しむコンテンツに新たに味が加わり、今後も目が離せません。

今後の動向

 VRで新たな発見が出来る味覚は、味覚と親和性の強い、飲料や食品業界への応用が期待されます。利き酒のプロモーション、蔵元への見学、フードコートの設置、VTuberの手料理をいただく、試飲・試食といったイベントの実現など考えられています。今後は、食とデバイスとが進化し、食品開発の分野での応用も可能になっていくでしょう。

 また、医療現場においても、薄味しか食べられない方が濃い味を食べる体験が出来たり、実際にはアレルギーがあり食べられないものでも、VR体験を通じて味を知ることが出来たりすれば、安心して食事療法を進められ、薬の成分を変えることなく味のみを変えて飲むことも可能になり、将来活用の幅が益々広がるのではないかと見ています。

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