VR活用事例

航空パイロット向けVRトレーニング

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航空パイロットの訓練は、80年以上に渡り、フライトシミュレーターで行われてきました。2019年頃、本格的にVRが導入され、よりリアリティの感じられる空間で、現実に近しい体験が可能になりました。

技術的な進歩により、新しい形の人材育成が生まれ、航空業界に新たな旋風を巻き起こしています。

今回は、航空パイロットのVRフライトシミュレーターについて、ご紹介します。

Go touch VR

 フランスのスタートアップであるGo Touch VRは、視覚をVRに実現させました。指先にはめることで操作可能なVR向け触覚フィードバックデバイスの誕生です。

 同社は、米国のVRシミュレーションソフトウェア開発会社であるFlyInsideと提携し、VRのフライトシミュレーターを使用するパイロットが、実物大コックピットで触れているような感覚と同じように、フライトで使用する全てのスイッチや目盛盤に触れ、確認出来ることにこだわった、指先に装着する航空機向けのテクノロジーを開発しました。

 ユーザーは、オペレーション中に押す必要のあるボタンを目視するのみで、他のアクションは全て触覚で行われ、バーチャルスイッチからの反響音で確認します。この基本的な確認は非常に重要で、これを省いてしまうと、フライトオペレーションに向けるべき貴重な時間と注意力を欠く可能性があります。

触覚がもたらす変化

https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/b/d/bdea7_126_c2b6b48352a8692d3a35273b6cf9c2c2.jpg (引用元)

 パイロットにとっては、シミュレーターは、リアリティが何より大切。計器パネル、スイッチのON・OFF、操縦かんの操作による機体の反応、天候など。出来る限りのリアル体験でないと、パイロットは実際のフライト時に、空間感覚を正常に保てず、危険を伴い兼ねません。

 VRによるシミュレーションでは、ユーザーにとっては全てが現実です。コックピットの実寸大のモックアップは使用せず、VRゴーグルを装着するのみで、簡素化され、コストも軽減出来るようになりました。機材は、小型化され、持ち運びもしやすくなっています。このことは、遠隔地でパイロットを養成したい軍隊のようなクライアントにとって、最大の魅力的とも言えます。

https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/f/a/fa33a_126_03c229fbb9924159e8ac7460b844ed97.jpg (引用元)

 ゲームを始めとする様々なVRアプリケーションにおいて、長らく追求されてきたソリューションの一つは、触覚フィードバックです。

 体の部位、主に手や指先に装着するアクチュエーターが、コンピューターが作り上げたVRの世界に触感をもたらせます。

 システムは機械的な動きにより、触覚を作り出します。皮膚から伝わる感覚です。

手、指先の感覚を再現

Go touch VRの新しいシステムを活用したフライトシミュレーションの様子。https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/a/a/aa3e4_126_d24bd51a25f41bfe75fbfc031b55c7b9.jpg (引用元)
エンジニアが触覚フィードバックに関する専門知識を駆使して開発した、Go touch VRのデバイス。https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/d/9/d90a9_126_bd6c782805a530d6f64c022f7c36fc5e.jpg (引用元)

 Go touch VRの新しいVRシステムは、エンジニアが触覚フィードバックに関する専門知識を駆使して開発しています。ユーザーは、医師が患者の指先に取り付ける血圧センサーに似た、3つのセンサーを両手に器具を装着することで、指先に圧が掛かり、アクチュエーターがオブジェクトの固さ(剛性)、きめの細かさや粗さ、オブジェクトを手に持った感覚などを再現します。

 デバイスの柔軟なゴムカバーの下には、多数のアクチュエーターが存在します。一つ一つを個別に制御し、軽い接触から、はっきりした接触まで、圧に応じて変化させます。軽量で、手や指の自然な動きを妨げません。

 ユーザーが自分の手を確認してもアタッチメントは映らず、没入出来ます。訓練中のパイロットは、指先でタッチすれば、スイッチの動きを感じられます。物理的な接触を予想し、脳が反応して目の前にある仮想のオブジェクトを現実であるかのように認識します。

VTOL VR

 VTOL(垂直離着陸機)の操縦が体験可能なVRフライトシミュレーターで、VTOL機の操縦が体験出来るのは、この作品のみです。

 VTOL VRは、同様のVRフライトシミュレーターであるUltrawingsがレシプロ機の操縦であるのに対し、最新鋭機を操縦でき、非常に完成度が高いと評判を得ています。独特な操作方法が人気を博し、ユーザーからの評価は、大変高いものとなっています。ゲーム的な要素というよりは、本番さながらの環境で、本格的な操縦が可能です。

 プレイヤーはパイロットとなりVTOL機を操縦していくものの、通常のフライトシミュレーターに比べ、高度なテクニックを要します。実物に似せた作りをしており、実際に手を伸ばしてボタンやレバーの操作する必要があります。全ての計器を、順番に、正しく操作しなければ離陸も難しいとされます。かなりリアリティのあるフライトシミュレーターです。

https://ascii.jp/img/2018/01/31/647891/l/1c81d6c0b099a952.jpg (引用元)

 レーダーなどを確認するディスプレーも本格的で、明るさの変更が可能なトグルも配備しています。

https://ascii.jp/img/2018/01/31/647892/l/2d48fc51675ffc02.jpg (引用元)

 機体に搭載されたヘッドアップディスプレーも活用でき、目的地までの経路や高度などの情報が分かりやすく表示され、ON・OFFの切り替えも可能です。

https://ascii.jp/img/2018/01/31/647893/l/a4e4b525b735a12f.jpg (引用元)

 プレーヤーがこなすミッションには空を飛ぶだけでなく、少々難易度の高いものも用意されています。その一つが、空中給油です。着陸せずに空中で給油機から直接ホースを繋ぎ、燃料を入れます。そのため、機体をホースに近付けなくてはならず、こういったことを空中で行うには洗練された技術が必要不可欠です。失敗しながらでも、何度も繰り返し体験することで、感覚を覚えられます。

https://ascii.jp/img/2018/01/31/647894/l/3b62fc28da0f020c.jpg (引用元)

 リアリティの追求で言えば、攻撃を伴う過激なミッションも含まれています。機銃だけでなくミサイルや爆弾を使用し、敵を撃破するといった場面も。

 こちらも複雑なステップが用意されており、攻撃手順がボタン一つで完了とはならず、逆に撃破されてしまうことも有るシミュレーションになっています。

 航空パイロットのみならず、航空業界全体としては、VRトレーニングについて世界情勢に左右されず、今後もVRが積極的に訓練に取り入られる見通しで、その重要性はさらに高まっていくとの見方です。

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