ゲーム業界のリサーチ会社Superdataは、2020年第1四半期時点の最新XR市場予測を発表しました。ロケーションベースVRといった市場では下方修正が入ったものの、トータルの市場規模は前回予測から拡大しています。
全体的に、市場規模は拡大
レポートによれば、XRのハードウェア、コンシューマ向けソフトウェアといったトータルの市場規模は、前回4月の予測から上向きに修正されています。
63億ドルから69億ドルへと見直した背景について、SuperDataは、VRヘッドセットへの旺盛な需要を挙げました。現状、新型コロナウィルスの影響で、供給に遅れが生じていますが、今後も新デバイスの登場も予定されており、市場は拡大する見込みです。
ハードウェア市場においては、一体型ヘッドセットOculus Questの好調が目立ちます。SuperDataによると、2017年第4四半期から2019年第3四半期までVRヘッドセットの売上首位は、PlayStation VR(PSVR)でした。
しかし、2020年第2四半期、PSVRの15万5,000台に対し、Oculus Questが17万7,000台と、Questが首位に立っています。レポートでは、少なくとも2021年末まではQuest(後継機種含む)がトップであると予測しています。
施設型VR、コンシューマーARデバイスは不振
一方で前回予想から下方修正されたのが、ロケーションベースVR(施設型VR)やAR/MRヘッドセットの売上規模です。
施設型VRは、新型コロナウィルスの影響を受けて休業する体験施設が多く、2020年の市場規模は2019年のわずか4分の1と予測されました。そして今回、影響の長期化を折込み、2023年時点でも2019年比で29%減と、市場が回復しきらない見通しになっています。
AR/MRヘッドセットは、前回の予測では2023年時点でXR市場の36%を占めると発表されていました。
しかし、SuperDataは、23%へと下方修正しています。背景として挙げるのは、Magic LeapやFocalsといった、コンシューマをターゲットにしたデバイスの不振です。Magic Leapは、一時は大規模レイオフを掲げ、Focalsの開発元Northはグーグルに買収されました。
AppleがARグラスをリリースするのではという見方は現実化しつつありますが、レポートでは早くても2021から2022年頃の発売と見ており、メインストリームとなるには更に時間を要するものと見ています。
一体型ヘッドセット出荷総数は、上昇傾向
VRヘッドセットの出荷台数を見ると、前年比で15%減少しています。
レポートでは、新型コロナウィルスの影響による供給遅れ、PlayStation VR(PSVR)向け新タイトルの不足などが理由に挙げられています。
他方で、一体型VRヘッドセットは、約290万台から340万台へと約19%成長している点に注目。10月にフェイスブックから「Oculus Quest 2」が発売され、新規VRユーザーの獲得に繋がっているようです。
Oculus QuestやValve Indexといった一部の製品では出荷遅れが発生し、一年を通じて品薄の状態が続きました。
同時に、外出制限といった生活スタイルの変化が、人々をゲームに向わせたことは、事実です。2020年春時点の調査では、米国のVRヘッドセット所有者のうち71%が、新型コロナウィルスの影響で、デバイス使用時間が増加したといったデータが示されています。